おせちについて

新年の食卓を彩る縁起物

魚辺に「喜ぶ」と書いて「鱚(キス)」。なんともめでたい魚である。細長く円筒形の体で、脂肪が少なく柔らかい白身は、塩焼や天ぷらはもちろん刺身などで食される。Oisixの新作おせち、「高砂三段重」では、この鱚を使った料理が入っている。

海産物の豊かな伊勢湾より

伊勢半島に面する伊勢湾は、古くから漁業が盛んな地域、「万葉集」の時代から「御食(みけ)つ国」と呼ばれ海産物が豊かな土地として知られてきた。今回訪れた答志島は、三重県鳥羽市、伊勢湾から小舟で20分ほど離れた、答志島という1周26キロほどの小さな島の沖合で獲れたものだ。南北1.5キロの小さな離島の沖合で、鱚の漁が行われているのだ。

一つ一つ手で行なわれる海での作業

小舟で沖合に出ること20分、網を下ろして40分ほど待ち、船を動かしながらかけた網を引き揚げていくと、細かい網にうっすらとピンク色の体をした鱚があがってくる。時期がよいと一度で200匹以上が釣れるという。網にかかった鱚は一匹ずつ、網を手繰り寄せながら、手で外してはバケツに投げ込む。売れないものはまた海へ。この地味な作業を繰り返しながら港に戻り、魚を下ろしてまた沖に出る。これを一日に7、8回ほど繰り返す。網にかかるのは鱚だけでなく、鱧(はも)やカマスも。ただ、鱧は祇園祭りの時期くらいしか値はつかないという。

鱚(キス)

網にからまった鱚を傷をつけないように頭から網に通すとするっと抜ける。

サイズ

体長15センチほど。大きいものは25センチくらいになる。

漁の様子

気づくと海鳥が船の周りに集まっていた。網から放られる魚が目当て。

Oisixには、その料理にあわせた、素材を日本各地から厳選している。そして、丁寧に調理されてお重に詰められ、新年の食卓を飾る。この答志島で獲れた鱚も、一つ一つくるりと縁起結びにして揚げ、ほんのり甘い南蛮酢に漬けて、おせちの一品となる。縁起がよいだけでなく、上品な旨みとほのかな甘みが引き立つこの一品をぜひ今年の新作の「高砂三段重」で楽しんで欲しい。

編集後記

この答志島では、名物の伊勢海老や鱚だけでなく、蛸の漁も盛んで、8月頃がピーク。「蛸もここ(答志島)のですよ。やっぱりここのはおいしいから」と日本料理の料亭での板前歴も長い開発担当者が言う。伊勢湾は本当に海の幸の宝庫なのだ。

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